今回は第一種型式認証申請中の「イームズ式E600-100型」について「イームズロボティク株式会社」様にインタビューさせて頂きました!
目次
イームズロボティク株式会社の第一種型式認証申請中「イームズ式E600-100型」情報
機体・メーカー | イームズ式E600-100型【イームズロボティクス株式会社】 | ||
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最大積載量(最大ペイロード) | 5.0kg | ||
電話番号 | 049-293-4567 | ||
メールアドレス | info@eams-robo.co.jp | ||
公式サイト紹介ページ | https://www.eams-robo.co.jp/news/837/ | ||
国土交通省認証PDF | https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001611364.pdf |
インタビュー記事への回答ご担当者様情報
お名前:曽谷 英司
役職:代表取締役社長
ドローン操縦歴:3年
所有資格:ドローン関連ではなし
所有機体(または好きなドローンの機体):EAMS製ドローン
「イームズロボティク株式会社」の曽谷様にインタビューをしました
御社の第一種型式認証申告中の「イームズ式E600-100型」の開発に至る経緯などを教えて頂けますか?
ドローンによるラストワンマイル配送を実現するため、申請をする運びとなりました。
「物流の2024問題」(2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されている件)に対し、弊社では将来「レベル4」によるドローン物流のニーズが高まると考え、ドローン物流の計画を進めています。
同年、12月には航空法改正が行われました。これは特定飛行を行うことを目的とする無人航空機の強度、構造及び性能について検査を行い、機体の安全性を確保する認証制度で、レベル3飛行以上を行うためにはメーカーは「型式認証」の取得が義務化しました。こうした背景から第一種型式認証取得へ向けて動き出しています。
物流の問題は深刻ですね!御社「イームズ式E600-100型」の魅力や強みはどのようなところですか?(スペックなど)
大きく3つのポイントがあります。1つ目のポイントは「高い冗長性」です。製品の故障や突発的なトラブルに対し予備を用意しています。具体的にはフライトコントローラーなどのエッセンシャルパーツの2重化に加え、モーターやECSの予期せぬトラブルにも対処できる安全機能を兼ねそろえているため、安全にフライトすることを想定した設計になっています。また、万一の事故に備えてパラシュートを完備しています。2つ目のポイントは「品質」です。2021年、弊社ではISO 9001を取得し、型式認証機体製造を開始しました。型式認証機体は部材ひとつを取っても厳しい品質確認が行われます。お客さまに安全・安心にご利用いただくために弊社ではドローン作りの製造工程や方針から見直しを行いました。3つ目は「全天候」に対応した点です。E600-100は実際に物流を行うことを想定され開発が進められています。急な天候に左右されることなく、安定した物流を行うために防水性を高めた設計となる予定です。航続距離は形見10km前後を予定しており、拠点間物流や離島間、山間部での活用を目指します。
天候に左右されないのは画期的ですね!御社「イームズ式E600-100型」はどのような企業様や公的機関に利用して頂きたいでしょうか?また具体的な用途を教えて頂けますか?
メインターゲットは物流事業社です。これまでに弊社では佐川急便様と東京都青梅市でドローン物流の実証実験を進めて参りました。その実績を最大限活かして2024問題と向き合うことが近々の目標です。
一方、地元企業との連携も進めています。地方自治体が抱える物流網の課題は地元企業がリアルな声を拾い上げていただくことが多く、そこから「実証実験」や「実証事業」としてご提案いただく機会が増えてきています。
現場に沿われているのですね!御社「イームズ式E600-100型」を導入する際の費用感や注意点などはありますか?
現時点では試算段階ですが、導入には1,000万円前後かかる見込みです。これはドローン本体の価格だけではなく、運用に関する部分の導入・サポートなどが含まれます。
法律上、1等ライセンスを所持していれば機体の運用はできますが、現実にはグランドステーションの設置、ソフトウェアの導入が必要です。また、1社で複数台導入し、同時に複数台運用することを想定しているため、こうした運用サポートなども積極的に行っていく予定です。
従来のドローンと異なり、型式認証機体には「点検」が義務化しています。これは型式の品質を保持するという意味合いが強いのですが、安全にご利用し続けていただくためにと、ご理解いただければと思います。10時間点検、100時間整備と2種類に分かれます。10時間点検はお客さまご自身で実施していただく定期点検です。点検項目は製品毎に細かく分かれますが、この点は弊社の導入講習時にレクチャーいたします。100時間整備はメーカーで実施する整備点検作業です。主にエッセンシャルパーツ(モーター、フライトコントローラー)の交換などがかかります。このあたりは導入後のランニングコストとなります。
講習の際にレクチャーしていただけるのは嬉しいですね!毎年増えていくドローン市場規模。今後の日本のドローン市場・世界のドローン市場はどうなっていくと思いますか?
農業、点検と様々な活用方法が見出されてきたドローンですが、とりわけ物流はメーカーとして参入ハードルが厳しいのが特徴です。これは型式認証の取得へ向けた準備や、その後の品質保持サポートに多大なコストがかかることが代表例として挙げられます。やはり開発に莫大なコストを要することが、他企業様もなかなか参入しづらい状況にあるのではないかと考えています。そのため、今後はドローンの製造・販売よりもサービス分野での成長が著しく伸びていくと予想しています。もう少し時間が経って、さまざまな規制が緩和することができれば、ドローンの製造市場も広がりそうです。
弊社では、日本国内での品質を世界へ向けて発信していきたいと考えています。一昔前までは、メイドインジャパンとしての品質が強みだった日本製品ですが、ことドローンにおいては、中国をはじめとする海外勢が圧倒的に技術面、販売価格で勝っているのが現状です。日本における厳しい製造プロセスを経て完成した製品は、どの海外製品よりも高い品質をもってご利用いただけるものだと確信していますので、この機会に世界へ向けてPRできるよう働きかけていきたいと考えています。
メイドインジャパン復活期待しています!御社「イームズ式E600-100型」の導入を検討している企業様や公的機関に一言お願い致します。
お隣の中国では、既にドローンによる物流サービスがスタートしており、日本は海外から見ても大きく出遅れる形となりました。品質・安全性を担保することがレベル4飛行における最低条件です。この条件をクリアするためには、厳しい試験や300時間以上にわたるフライト実績が必要です。弊社では、今まさにそういった研究開発に直面しており、スタッフ一同、身を粉にして日夜作業に明け暮れています。
社会実装を一日でも早く実現し、2024問題解消を行うためにも、多くの企業様、公的機関の皆様のご協力が必要です。ドローン物流の実証実験をトライしてみたい、実際にサービスインを進めたいといったご相談がありましたら、ぜひ弊社までご相談ください。一歩一歩、着実に歩みを進めて安心安全なドローン物流を共に実現しましょう。
ここまでご丁寧にありがとうございました!