屋根を点検する場合、これまでは人が建物に登って行う方法が主流でした。
ドローンの発展によって、屋根点検が変わろうとしています。
屋根点検用ドローンを使用した時のメリットやデメリット、注意点と対策、そしておすすめドローンを一挙にご紹介します。
これからドローンを使って屋根点検業務に乗り出そうとする方は選び方も参考にしてください。
ドローンを使った屋根点検とは?
空から屋根点検を実施する方法です。
点検者が屋根に登ることなく、ドローンを飛行させ、依頼者さんと共にリアルタイムで撮影した屋根の状態を確認できます。
最近では、「足場代がいらないから安い」「ドローンの撮影だから早い」と評判のやり方です。
屋根の劣化は放っておくと雨漏りの原因になるなど、住まいの状態を脅かしてしまいます。
定期的に屋根点検は行う必要があり、それをドローンの使用とすることで、費用や時間を抑えて気軽に行うことが出来るようになっています。
屋根点検をドローンで行うメリット
人の目では見にくい部分も点検できる
人が屋根に登って点検すると、隅々まで目で確認できるような気がします。
しかし、傾斜だったり屋根の形状だったりによって、足を踏み込めない場所が存在し、「見えない部分」が出てきますい。
しかし、ドローンを飛行させると人の足では踏み込めない場所や危険な場所でも点検できるのです。
搭載したカメラで撮影することで、ちょっとした浮きなども発見できます。
点検時間を短縮できる
これまで主流だった人が屋根に登り、触診していく方法では通常1週間程度かかります。
屋根の形状や高さなどを確かめ、足場を組み、触診していく方法です。
しかし、ドローンを使えば、足場を組む必要もなく、屋根の状態に左右されずに行えるので1日で完了します。
居住している方のストレスにもなりません。
人が登らないので屋根を傷つけない
人が足を踏み込んだり、物が当たったりすることで、瓦などの屋根が傷ついてしまった事例は過去にいくつもあります。
屋根の点検をしてるのに、屋根を傷つけてしまうことがあったのです。
ドローンによる屋根点検は、そもそも人が登りません。
ドローンが屋根に触れることもないので、傷つけるリスクは限りなく低いので安心です。
屋根の高さや形状を気にする必要がない
ここまでも少し触れていますが、屋根の高さや形状によって、点検の難易度がこれまでは感じられていました。
平屋よりも三階建ての住居の方が高さがあって危険度は増しますし、傾斜があると人がそもそも登ることに無理がある場合もあります。
しかし、ドローンによる屋根点検は空からのアプローチですので、基本的にどのような屋根でもドローンを飛ばせたら点検が可能です。
点検者の安全確保
屋根に登ることに対する危険リスクはかなり高いものです。
落下などの危険が0にはなりません。
点検者がベテランだとしても、屋根が老朽化していると足もとは不安定になり、破損すれば落下の危険が高まります。
屋根ののぼる必要がないドローン屋根点検は、点検者の安全確保を行えます。
調査費用を削減できる
これまでの主流だった方法の場合、屋根を点検する費用のほかに足場の組み立てや解体、運搬に対する費用が必要になります。
30坪の住宅ならば、10~30万円ほどはかかるといわれています。
足場自体が必要なくなるので、ドローン屋根点検費用のみで行えます。
業者さんによっては、ドローン屋根点検は数千円で引き受けてくださる場合もあります。
リアルタイムで依頼主と状態を確認できる
ドローンによる屋根点検をおすすめする際、リアルタイムで依頼主さんと確認ができるという項目がよくメリットとして挙げられます。
これは、昨今増えている「屋根点検詐欺」を防ぐ効果もあるからです。
「屋根がこんな状態だったのですぐに補修をしたほうがいいですよ」と、現状を確認できないままに依頼して、それが詐欺だったという話は後を絶ちません。
しかし、実際にリアルタイムでドローンから送られてくる画像をみながら、屋根の状態を確認、説明してもらえるので安心です。
依頼主が「これはどういう意味?」「どういう状態?」とすぐに専門家に尋ねられるのも大きなメリットです。
屋根点検をドローンで行う際の注意点と対策
騒音に配慮する
ドローン屋根点検はメリットもありますが、課題やデメリットもあります。
対策はありますので注意点としてお伝えいたします。
まずは、騒音に配慮するということ。
ドローンは飛行音を発します。
小型のドローンで60db程度を発するといわれており、これは掃除機の音に匹敵します。
閑静な住宅街などなら、日中でも響いてしまうことは予想できます。
静音化を進めている企業もあるようですが、現在はまだ安心して静かな空間で使えるドローンはありませんので、飛行させる前にご近所さんなどにお知らせをしておきましょう。
天候に左右される
ドローンは雨や風が強いと飛行させること自体が危険です。
精密機械なので濡らすことにリスクがありますし、強風によってドローンが飛ばされて落下や事故に繋がる恐れがあるのです。
点検する日を依頼主と設定していても、悪天候ならば強行突破することは出来ずに、日時を変更しなければなりません。
風速5m/sをボーダーラインとして飛行許可がおろされます。
▼▼無人航空機 飛行マニュアルについて詳しくはコチラ▼▼
https://www.mlit.go.jp/common/001218180.pdf
触診はできない
屋根にのぼって触診をしないから瓦などを傷つけないメリットがあると反面、映像のみでは確認できない問題が潜んでいることもあります。
カメラでの空撮、赤外線を積んでいたとしても屋根の下地が痛んでいれば見逃しかねません。
プロによる触診も定期的に行うことで、屋根を守り続けることになります。
ドローンによる点検のみとなり応急処置はできない
これまでの方法で屋根点検をしている場合、何か不具合があればその場で応急処置が出来ます。
完璧な補修までは必要なくても、雨漏りの原因を見つけたらすぐに対処してほしいのが心情でしょう。
ドローン屋根点検の場合は、点検のみで人の手がないので応急処置でさえ不可能です。
立地によっては飛行許可が取れないことがある
航空法や小型無人機等飛行禁止法を順守しながらドローン屋根点検が行われます。
どこでもドローンを飛行させていいのではありません。
飛行が禁止されているエリアがあったり、人口集中地域では禁止されていたりします。
許可申請を出しても許可が下りなければ、ドローンによる点検は不可能になります。
▼▼2024年最新ドローンの規制(法律)7選【航空法・小型無人機等飛行禁止法・民法・電波法・道路交通法・都道府県、市町村条例・肖像権・個人情報の保護に関する法律】▼▼
熟練した操縦技術が必要
「瓦を破損させるリスクが軽減する」「高さや傾斜を気にする必要がない」というメリットを生かすためには、熟練した操縦技術を持つ人が必要です。
ドローンの操縦技術が未熟ならば、でっぱりにぶつけて落下させたり、事故を起こしたりしかねません。
手元の画面をみながら飛ばすことになりますから、感覚的なことも必要です。
ドローンの落下や事故は、人に怪我をさせたり建物や屋根自体に損害を与えたりします。
屋根用点検ドローンの選び方
カメラの性能やジンバルの有無
屋根の撮影が目的ですので、カメラの性能は無視できません。
不具合をしっかりと発見したいので最低で1200万画素は必要だといわれています。
画素数が良くても、カメラの映りが安定していなければ確認がしづらいものです。
ジンバルという機能がついたドローンがおすすめです。
ジンバルはドローンの飛行中に風に煽られて機体が傾いたとしてもカメラは水平状態でい続けるというもの。
常に平行となった画像を確認できます。
高い飛行安定性を確保できるか
ドローンは風に弱いのですが、機体によっては高い飛行安定性を確保できるものがあります。
DJI製のドローンに「ビジョン・ポジショニング・システム」というカメラセンサーがありますが、これは低位置から動かないホバリングが可能な機能です。
カメラが二つあり、それが地面を監視して安定性を確保しています。
事故のリスクを限りなく0に近づけるためには必要な機能かもしれません。
耐久時間の長いバッテリーで長時間の飛行ができるか
屋根は広大で点検には少なからず時間がかかります。
搭載しているバッテリーは長時間の点検に耐えられるのかが問題です。
バッテリーが途中で切れてしまえば、落下の危険性が高まります。
耐久時間の長いバッテリーを持つ、予備のバッテリーを準備するなどの対策が必要です。
持ち運びしやすい大きさや重さか
住宅の屋根を点検しますので、住宅街に向かうことになります。
狭い道路などもあるかもしれず、運転しやすい車で移動する場合もありそうです。
あまりにも大きなドローンでは、依頼主さんや近所の方を不安にさせてしまう可能性もあります。
持ち運びしやすい大きさ重さであるかは重要です。
ズームによる画質
カメラの画素数のお話をしましたが、ズームによる画質も良いに越したことはありません。
浮きや剥がれ、さび、コーキングの劣化、ひび割れなどを点検する際、その印は小さなものです。
場所を正確に把握するためにも、ズームでの撮影は必要不可欠。
ズームにすると画質が悪くなっていると、傷などの状態を確認できずに、二度手間になったり不具合を見逃したりしてしまいます。
障害物センサーがあると安心
ドローンには障害物センサーがついているものがあります。
屋根に近いところで撮影しながら飛行するので、あらゆる障害物に気を付けなければなりません。
屋根だけでなく、壁面や電柱などにも危険がありそうです。
おすすめの屋根点検用ドローン一覧
DJI Mavic 3(198,000円)
最大飛行時間は46分で撮影に余裕が生まれます。
全方向障害物検知が搭載されています。
4/3インチ CMOS Hasselbladカメラを搭載し、センサーは12.8ストップ ダイナミックレンジに対応しています。
ブランド | DJI |
画質サイズ | 1.33インチ |
ズーム倍率(光学) | 7 |
焦点距離(広角側) | 24 |
焦点距離(望遠側) | 24 |
付属品 | DJI RC-N1 送信機 ×1 DJI RC-N1 送信機操作スティック ×1 DJI RC-N1 RCケーブル(USB Type-Cコネクター)×1 DJI RC-N1 RCケーブル(標準タイプMicro-USBコネクター)×1 DJI RC-N1 RCケーブル(Lightningコネクター)×1 DJI Mavic 3 インテリジェント フライトバッテリー ×1 DJI Mavic 3 低ノイズプロペラ(1組)×3 DJI 65W ポータブル充電器 ×1 DJI Mavic 3 ストレージ カバー ×1 Type-Cケーブル ×1 |
製品サイズ | 9.14 x 22.1 x 9.65 cm; 895 g |
DJI Air 2S(93,990円)
1インチ イメージセンサー、2.4μmの大きなピクセルサイズといった特長を持ち、5.4K/30fpsや4K/60fpsの動画撮影を行えます。
10億を超える色情報を保持しているので、屋根の状態を確認しやすくさせるでしょう。
空間を認識する機能が高いドローンです。
ブランド | DJI |
映像素子 | SMOS |
レンズタイプ | AF、35mm判換算:22 mm |
焦点距離(広角側) | 22 |
焦点距離(望遠側) | 3200 |
付属品 | DJI RC-N1 送信機、インテリジェント フライトバッテリー、バッテリー充電器、AC電源ケーブル、低ノイズプロペラ(3組) |
撮影機能 | 10ビット Dlog-M、RAW撮影、ハイパーラプス 、 パノラマ |
製品サイズ | 18 x 9.7 x 8 cm; 595 g |
DJI mini 3 Pro(66,000円)
超軽量のドローンとして人気です。
重量は249g未満で、なのにバッテリーは最大38分駆動可能です。
屋根点検のように長時間の飛行を求められる場合、おすすめの機体となります。
ブランド | DJI |
サイズ | Mini 3 (DJI RC付属) |
焦点距離(広角側) | 28 |
焦点距離(望遠側) | 30 |
付属品 | ドライバー × 1, DJI Mini 3*1, 予備プロペラ(1組)*1, ねじ(予備)*6, インテリジェント フライトバッテリー*1, DJI RC*1, PD規格対応ケーブル(Type-C - Type-C ) × 1, ジンバル プロテクター × 1 |
製品サイズ | 25.1 x 36.2 x 7.19 cm; 248 g |